奥田元宋作品

山湖清韻(さんこせいいん)

深い緑色の夜空、山の向こうに浮かぶ月から手前の湖面に光が降り注ぐ神秘的な風景画です。風景画で宗教画的な表現を描くことが元宋のテーマのひとつであり、本作は山越しに阿弥陀如来が顔を出す来迎図を模した表現と考えられます。山越阿弥陀図は山の向こうから上る月に阿弥陀の姿を見出して描かれたという説があるため、月を阿弥陀如来に見立てた元宋の作品は古代への原点回帰ともいえるでしょうか。

また、山頂の岩肌は立山連峰の山容がモチーフと思われ、深い緑色の夜空や様々な暖色系の色彩で描かれた紅葉と合わせて、これまでの元宋の主要な風景表現が幾重にも組み合わされた絵画ともいえるでしょう。

作品情報

制作年:2001(平成13)年 改組第33回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:178.0cm×221.0cm

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