奥田元宋作品

夕照(ゆうしょう)

幾重にも塗り込められた暖色の絵の具によって、秋深い夕刻の山々が表現されています。紅葉の山々と流れ落ちる滝の組み合わせは他の元宋作品にもたびたび描かれていることから、作者お気に入りのモチーフのひとつであったと考えられます。滝つぼに向って落ち込むような暗い赤と夕映えに照らされた明るい山頂とで、絵具や筆跡を使い分けて別の空間を思わせるような温度差を演出しています。また、画面手前の鮮やかな赤が滝までの距離感を演出し、絵の前に立つとその奥に実際の滝音が聞こえてくるような錯覚を覚えそうです。

作品情報

制作年:1993(平成5)年 改組第25回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:178.0cm×221.0cm

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