奥田元宋作品

春耀(しゅんよう)

枝も隠れるほどに咲き誇った満開のしだれ桜が描かれています。金地に赤い真円の太陽は日本の伝統的な装飾表現であり、この頃の元宋作品としては異例の表現です。また、初めて取り組んだ大作屏風であると自伝で述べています。描かれている桜は、元宋がこれまで目にしてきた桜の壮観な印象を心象風景として描いたと語られています。実際、元宋が日本各地で描いた桜のスケッチにはそれぞれ本作の各部描写に共通する部分も見られ、元宋の創作スタイルを検証する上でも興味深い事例です。

元宋は桜が一本だけ咲いている光景に心を打たれることがあったといい、その想いも本作に反映されているのかもしれません。

作品情報

制作年:1987(昭和62)年
材質・形状:絹本彩色・六曲一双屏風
サイズ:各171.2cm×354.5cm(一双)

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