奥田小由女作品

波の音(なみのおと)

天を仰ぎ見る女性と、下方へと沈み行くかのような女性。髪のゆらめきを波に見立てたのであろうか、たゆたう姿は双方の融合を思わせ、上昇と下降のイメージを二律背反的に内在するようにも見えます。初期の小由女作品によく見られる縦長モノリス状ですが、これまでのものよりも曲線的な造形が際立ち、芸術イメージとしての女性像を強く意識していると思われます。さらに女性の表情がより細かくなっており、後の具象的な女性像への過渡期に位置づけられる作品のひとつといえるでしょう。

作品情報

制作年:1977(昭和52)年 改組第9回日展
材質・形状:木・桐粉・胡粉
サイズ:92.0cm×23.0 cm×21.0 cm

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